【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
あの子誰?と思われてることなんて、言われなくてもわかる。
舘宮くんの彼女になることを考えたら、いつかはこういう視線を受けることは、知っていたけれど。
「……あなたたち目立ちすぎ」
「お前も大概目立ってるっての」
小声でボソッと言うわたしに、ケラケラ笑う快斗。
しかも当然のように靴を履き替えるわたしを待ってくれるものだから、教室までの別行動はできないことを悟る。
……明日から登校時間変えよう。
もうすこしはやく来て、彼等との遭遇を避けよう。
だって、朝イチで彼等に会うの心臓に悪いし。
こっそり息を吐いて3人と教室へ向かいながら、「優理と咲ちゃんは?」と聞いてみる。
みんないつも、一緒にいるイメージだから。
見掛けないと、なんとなく落ち着かない気分になる。
「優理も咲耶も、朝弱いんだよ。
昨日優理はめずらしく、朝から来てたけど」
「オメーに声掛けるのに必死だな、アイツも」
「ああ、」
そういえば昨日の朝は優理に声を掛けられたんだった。
昨日一日が濃すぎて、もうとっくに忘れてた。
「まあ、そんなこと言ってたら内申に響くから。
そろそろ優理にも咲耶にも、朝から来て授業に出てもらわないといけないんだけど」
「昨日も思ったけど、
稜くんほんとみんなの父親みたいね……」
「俺はこんな子どもたち嫌だよ、雫ちゃん」