【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
その相手がわたしでさえなければ、彼はすごく魅力的だと思う。
……本当に、わたしが相手なんて、もったいない。
「ってことでデートしませんか? 雫ちゃん」
「お断りします」
「ちぇ。ツレねえな。
じゃあ俺、1日雫ちゃんがやりたいことに付き合うよ」
「どさくさに紛れてデートしようとしてない?」
「あ、バレた?」
ぺろっと舌を出すその姿は、最初に声をかけてくれた時のテンション感にもどってる。
「デートする?」「しないわよ」なんて言い合っていたら、みんなのところにたどり着いた。
「お待たせ~」
「お疲れ、雫ちゃん。
全員揃ったし、たまり場まで行こうか」
「うん。……歩いていけるの?」
「すぐソコだぞ。
それに俺ら、15だから二輪乗れねーしな」
二輪免許、16歳からじゃなきゃ取れないものね。
東さんたち先代がバイクを持ってたし乗ってたから、越たち朝顔のメンバーは東さんたちの目の届く範囲で、それを借りて倉庫周辺で乗ってたけど。
……そういうところ、律儀よね。
「さすがに無免許で乗ったりはしないのね」