【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
『来てたよ~。真面目でかわいいじゃねえの』
「クソめんどくせー」
『でも付き合ってやるんだろ?』
「……言い出しっぺが"姫"だからな」
『ふは。……大概お前もウチの姫に甘いねえ』
まるで"絆されてるな"と言いたげなそれに、眉間を寄せる。
俺は他人に人生を左右されるのが嫌いなんだよ。
まさか自分が正当に生きられてるとも思ってねーけど。
他人に矯正されることを想像しただけで虫唾が走る。
事情を知ってる彼岸花のメンバーが俺に口を出すのは、知った上で俺の為になると分かってそうしてるからだ。
稜介なんかはたまにお節介だと感じるが、それでもただ鬱陶しいと思ってるわけじゃない。
『とりあえず。
俺はプレゼントの案でもいくつか出して送っとく』
「あー。そーだな」
『ん。風呂行ってくるわ』
「あいよ。んじゃ」
でも、どれだけ親しかろうが結局は他人だ。
血の繋がった相手でさえ分かり合えねーこととか、散々あるんだってのに。
「……快斗って、わたしのこと嫌いでしょ」