【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
っ、誰かこの人を止めてくれないかな……!!
助けを求めて振り返るけれど、4人は話に夢中でわたしのヘルプには気づいていない。
その間もまつりはわたしの頬を愛でるように撫でて、綺麗な指に顎先を持ち上げられる。
「っ、だ、だめ、」
「………」
キスされるとわかって、彼の口元を手で覆う。
そうすればまつりは不機嫌そうに眉間を寄せたけれど、どう考えたってまつりが悪いと思うの。
「みんながいる前で、恥ずかしいし……」
そしてこれを言わされているこの現状も恥ずかしい。
まつりにしか聞こえないように小声で伝えたら、彼はわかってくれたのか指を離す。ホッとしたのも束の間、また彼がわたしの耳にくちびるを寄せて。
「じゃあ、ふたりの時にするしかないな」
「っ……」
っだから、この人は、もう……!!
惜しみなく言葉で伝えてくるから、それにいちいち動揺してしまう自分がいやだ。何事も無かったかのように離れて、涼しい顔で。わたしだけを、そこに取り残して。
「っ、あ……! そうだ、ケーキ!」
ようやく本題を思い出して、テーブルに置かれていたケーキへ駆け寄る。
そこへ『1』と『6』のろうそくをさし、稜くんに近くへと来てもらった。
「お歌うたうー?」
「……、みんな歌ってくれる?」