【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-



「気に入ったから、俺が連れて帰る」



「は? はあ!?

何言うとんねん越!そんなんしたら、絶対(あずま)さん怒るに決まっとるやろ!?」



「そう? 案外怒らなさそうだけどね、あの人」



「いや、そもそも連れて帰ったらヤバいんとちゃうん!?

家出とかしてたら最悪親とか、」



「……その心配はないので大丈夫です。

親はいるけど、別に帰ってこないから」



ふたりのやり取りに口を挟むのはどうかと思ったけれど、このままここに置いていかれたくない。

告げるわたしを見て「だってさ」と言った越は、わたしの手を離さずに引いてくれた。



その後ろを、鼓が着いてくる。

行き先なんて、わたしにはわからない。




「さっきも言ったけど、俺らは朝顔のメンバーで。

シズクをそこに連れていくには、東さんっていうトップの許可が必要だから。……もしかしたら何か言われるかもしれないけど、あんま気にしないで」



「……うん」



「シズク、何歳?」



「中2」



「ふぅん。俺らと同い年か」



……え、同い年? 越が?

到底同い年には見えない綺麗すぎるその風貌を見上げる。後ろの鼓とやらはまあ同い年と言われても納得がいくけど、ほんとに越も同い年なの?



「あ、そうそう。言い忘れてた。

ソッチは烏丸(からすま) 鼓。まあ鼓なり馬鹿なり好きなように呼べばいいと思うよ、俺は」



< 20 / 295 >

この作品をシェア

pagetop