【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
「気に入ったから、俺が連れて帰る」
「は? はあ!?
何言うとんねん越!そんなんしたら、絶対東さん怒るに決まっとるやろ!?」
「そう? 案外怒らなさそうだけどね、あの人」
「いや、そもそも連れて帰ったらヤバいんとちゃうん!?
家出とかしてたら最悪親とか、」
「……その心配はないので大丈夫です。
親はいるけど、別に帰ってこないから」
ふたりのやり取りに口を挟むのはどうかと思ったけれど、このままここに置いていかれたくない。
告げるわたしを見て「だってさ」と言った越は、わたしの手を離さずに引いてくれた。
その後ろを、鼓が着いてくる。
行き先なんて、わたしにはわからない。
「さっきも言ったけど、俺らは朝顔のメンバーで。
シズクをそこに連れていくには、東さんっていうトップの許可が必要だから。……もしかしたら何か言われるかもしれないけど、あんま気にしないで」
「……うん」
「シズク、何歳?」
「中2」
「ふぅん。俺らと同い年か」
……え、同い年? 越が?
到底同い年には見えない綺麗すぎるその風貌を見上げる。後ろの鼓とやらはまあ同い年と言われても納得がいくけど、ほんとに越も同い年なの?
「あ、そうそう。言い忘れてた。
ソッチは烏丸 鼓。まあ鼓なり馬鹿なり好きなように呼べばいいと思うよ、俺は」