【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
雑なその説明を受けながら、後ろを振り返る。
わたしだって金髪だから人のことは言えないかもしれないけど、そのベタっとした重たい金髪どうにかならないのかな……
「なんや!?
なんか分からんけど失礼なこと考えとんな!?」
「その金髪、あんま綺麗じゃないなと思って」
「めちゃくちゃ失礼やないか!
確かにお嬢ちゃんの金髪は綺麗やけど!」
「……ふふっ。雫でいいよ」
さっきまでひとりぼっちで膝を抱えてたのに。
そんなの嘘みたいに楽しく話し掛けてくれるから、思わず笑ってしまう。
……ああ、なんか、幸せだなぁ。
他人から見たら、何が?って思うくらい単純なことかもしれないけど。それでも今、すごく幸せに感じる。
「なっ、な……っ、越! 雫がわろたで!?」
「雫が笑ったから何なの。
笑わなくたって可愛い顔してるじゃん」
「っ、」
冗談だって、分かってるのに。
越の言葉を聞いて、じんわり頬が熱くなった。
「はー!? 何やその顔かわいい顔!?
もう越に夢中やないか! ムカつくわ!」
「なっ、そんなことない、」
「へえ? "そんなことない"んだ?」