【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
しばらくそうしてじっとしていたら、不意にインターホンが来客を知らせる。
誰かしら、と立ち上がって玄関に向かうわたしに、慌てて咲ちゃんが後ろからとんできた。
「っ、しずくん! 何のためのモニターなの!?」
「え、何が?」
「リビングにインターホンのモニターあるじゃん!
なんで直接玄関行っちゃうの!?」
「……だって来て困る人来ないから」
言いつつ、玄関のドアを開ける。
「ちょっ、」なんて咲ちゃんが焦った声を上げるけれど、それはすぐに安堵のため息に変わった。
それもそのはず。
そこに立っていたのは、彼岸花の7代目トップだからだ。
「……まつり。
あなた今日何か予定あったんじゃないの?」
「母親の買い出しに付き合わされてただけだよ。
北の7代目が彷徨いてるって聞いて切り上げてきた」
言いながら何故か部屋に上がろうとするまつり。
……まつりさん? なんで上がろうとしてるの?
「えーと……無事だから帰ってもらって大丈夫よ」
「あ? 咲耶は部屋に入れたんだろ?」
「いや、それはスイーツ買ってきてくれたからで、」
「じゃあ後で買ってやるよ、スイーツ」