【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
そういうことじゃない……!
っていうか咲ちゃんも「まつりん聞いてよ」と受け入れ態勢だし。家主が断ろうとしてるんですけど!
「入って困ることでもあるのか?」
「や、うん……別にないけど」
どちらかと言えば精神的な理由なわけで。
でもまあ、咲ちゃんいるから良いか。ふたりっきりになるわけじゃないし。3人だったら変なことも起こらないでしょ、別に。
「お前、今度から絶対にモニター確認しろ」
「……ええ」
そして咲ちゃんがまつりにモニターを見ずに出た件をチクったせいで、怒られる羽目になった。
モニターも見ない、しかも玄関のドアガードも使用しないままドアを開ける、という行為がよっぽどダメらしい。……まあ確かに、防犯意識に欠けてはいるけど。
「何かあったら心配なんだよ。
男相手じゃ絶対に力の差で敵わないだろ」
「……うん」
「約束な。
せっかく家にいるのにお前自ら出てきて危ない目に遭ったんじゃ、守れるものも守ってやれねえよ」
それはご最もだ。
もしわたしが何かに巻き込まれて彼岸花のみんなを危ない目に遭わせるわけにもいかないし、それはそうだと素直に頷いた。
「まつりん来たなら、ぼくかえるねー。
かいくん、倉庫に一人で留守番暇らしいから」
「え!? ならみんな一緒に行けば、」
「ううん、部屋でゆっくりまつりんとスイーツ食べたらいいよー。
また明日にでも倉庫来てくれたらいいしー」