【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
◆
「おなかいっぱい。もうハル歩けないぃ」
「そんな食えへんの分かってんのに、
わざわざチャーハンセットにするからやろ」
「えー。
ここ来たらチャーハンセットにしなきゃ意味ないじゃん」
「はじめて来たときから頼んでたよなぁ、ハル。
んで、食べれなくて俺らが手伝った記憶ある」
「ケンちゃんほぼ手伝ってくれてないじゃん」
店を出て、伸びをする。やばい、お腹超重い。
帰ったら塩分過多ですぐ寝ちゃいそう。……でもメイク落とさなきゃ、肌荒れちゃうし。
お風呂めんどくさいなぁ。
「静、ハルのことおぶってー」
「……重いだろ」
「うわ、レディに失礼」
なんて言いながらも、屈んでくれる静の背中に乗りかかる。
静って一番背高いし、落ち着いてるし、おぶってもらうには丁度いいんだよね。快適。
「遥人」
しばらくいつもの道を歩いてたら、えっちゃんに声を掛けられる。
遥人って呼ぶのやめてくんないかなぁ。……ああ、ねむたい。
「なぁにー、えっちゃん」