【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
半分うとうとしながら、一応返事する。
わざわざハルが返事してやったっていうのに、えっちゃんは「なんでもない」なんてぬかしやがった。ムカつくんだけど?
「……あのさ、ハル」
「だからなにぃ? えっちゃんしつこいいい」
「あの時、ハルが俺らと居ることを選んでくれてよかったよ」
「はあ?」
なに急に。
そりゃハルだって、あの時手を差し伸べてくれたえっちゃんや静、受け入れてくれた鼓や兼ちゃんに、感謝してるけど。
そんなの今に始まったことじゃないし。
「それだけ。
んじゃ、静。ハルのことよろしく」
「わかった」
「また明日なー!」
「静なら大丈夫やろうけど、気ぃつけて帰りや」
「はいはーい、おつかれぇ」
えっちゃんがハルにそんなことを言い出した理由なんて、分かんない。
ただひとつ、ハルに言えることがあるとしたら。
……急に素直すぎてキモい、ってぐらいでしょ。