【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-



「ねえ二乃。今日、夜食べてかない?」



「まじ? タダ飯?」



「買い出しの荷物持ち付き合って」



「しゃーねーな。付き合ってやるよ」



うん、やっぱり気楽でいい。

突拍子のないこともしないし、落ち着きがあるし、ちょっと口が悪くて面倒くさがりなところを除けば。



「タダ飯望むほどお金に困ってないでしょ」



わかりやすくため息をつくわたしに、

二乃はフッと嫌味もなく口角を上げた。




「なー雫。せっかくだから寄り道してかね?」



「どこ行くのよ」



「服でも見に」



「……まあいいけど」



ひとりでなら近くのスーパーで済ますけれど、せっかく二乃が来ているからと、すこし離れたショッピングモールまで足を伸ばした。

……のが、二乃の物欲に刺さったらしい。



食品売り場がある一階なんて見向きもせず、エスカレーターをのぼる二乃。

まあ、元々二乃とふたりで出掛けることなんてたまにあったし、退屈じゃないし。



「コレとかどうよ。良くね?」



< 278 / 295 >

この作品をシェア

pagetop