【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-



「バカップルだと思われるでしょ」



「思われても困らねえよ。

他の男にお前のこと見られる方が嫌だしな」



「っ、見られてないってば」



「まあ可愛いからしゃあねえな」



「ねえ話聞いてる?」



どっちかというと髪色が目立つせいじゃないの。

むしろ見られてるのはあなたの方よ。ずっと女の子たちの目がハートなんだけど。



みんなで出掛けたら女の子たちに絡まれるのも納得がいく。

稜くん曰く、最近はわたしがいるから、まつりも他のみんなも外で声は掛けられないみたいだけど。




「モテてるのはまつりの方よ」



ピアスを通して、キャッチを嵌める。

新しく耳に落ち着いたそれは、オレンジのピアスなんて無かったみたいに、そこに馴染んだ。……うん。やっぱりこっちの方がいい。



「妬いたって?」



「残念ながら全く」



新しく買ったピアスが入っていた袋に、オレンジのピアスを入れる。

まつりに渡そうとしたら「捨てていい」と言われてしまった。



……本当に興味とか愛着が無いらしい。

まあ、顔も覚えていない女の人にもらったものってこともあるんだろうけど。



「似合ってるわよ、とっても」



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