【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
「ほかの子って?」
「別の女の子、とか、」
「すると思う?
わざわざ拾って、家まで連れてきて、シャワー浴びさせるとかそんなダルいこと何人も」
「……っ」
じゃあ。
どうして、わたしにはしてくれたの。どうして、わたしにはキスしてくれるの。一度じゃ飽き足らず、何度も何度もしてくれるその理由は?
「あー……めんどくさいなぁ。
やっぱり雫って鼓とは違うけど馬鹿っぽい」
はあ、と越の口からため息が漏れる。
見つめていたら、急に両頬を手のひらで包まれた。
「好きなようにしたいと思ってるから」
「っ、」
「雫のことを、自分の好きなようにしたいって。
そう思ってるからふたりきりになれる家に連れてきたし、キスもした。意味わかる?」
「わ、わかんない……」
そんな曖昧な言葉じゃ、わからない。
はっきり言ってくれなきゃ、伝わらない。
「だから好きだって言ってんの」
同じ想いなのかどうか、ちゃんと言葉で確かめさせてよ。