【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-



「おはよう越。……え!?

っちょ、なんか越が女の子連れてる!?!?」



「えっちゃん、そのこだぁれ?

なぁんか、東さんが女の子来るかもとか言ってたけどぉ、その子?」



「………」



ま、纏まりがない……

翌朝。いや、昼。「いい加減起きな」と越に起こされ、時計を見れば時刻は11時57分。あまりに寝すぎたとその場で謝罪し、越に冷たい目で見られたのが1時間前。



朝顔の倉庫に行くよ、と言われて。

元々出会った時に履いていた黒のスキニーはそのまま履いて、上だけ越の服を貸してもらった。



サイズは、ちょっとだけ大きいくらい。

……なら、昨日貸してもらったあの服は、やっぱり越のものじゃないような気がする。



誰のなんだろう。

なんとなく、もやもやする。




「お。おはようさん。越、雫ちゃんも。

越に何もされんかった? 俺心配やったんやで」



越は何だかどうでも良さそうだし。

誰かこの場をなんとかして……!という思いが通じたかのように、トントンと階段をおりてきたのは鼓だった。



「おはよう、鼓……大丈夫だった」



「ほんまに? ならよかったわ」



「なにぃ? 鼓、もう仲良くなってんのぉ?」



「仲良くっちゅうか、

俺と越が昨日パトロール行った時に出会(でお)うたからな」



「ふぅん? 雫ちゃんって言うんだぁ」



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