【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
仲裁に入ろうとしてくれた、鮮やかな桜みたいなピンクの髪の男の子。
けれど逆効果だったようで、ハルちゃんの機嫌はどんどん悪くなっていく。というか。
「うるさくねえだろ!?
うるさいのはハルの方だろうが!?」
「はー!?首突っ込んできて何言ってんの!?
そういうのまじウザい、キモいんだけど!」
「やだ反抗期のJKみたいなこと言って!
そんなこと娘に言われたらパパ傷ついちゃう!」
「きっっっも」
「なんて? なんて言った? ハル」
もうわたしのことなんてどうでもいいよね?
各々好きなこと言ってるだけだよね?
「っていうかもう飽きたぁ。
別にハルが何言おうとぉ、雫ちゃん気にして無さそうだしぃ?」
「え」
「せっかく修羅場っぽくしたんだからもっとノッてくれなきゃハルつまんなぁい。
えっちゃんに彼女出来ようと正直どうでもいいしぃ」
「え、えええ……」
な、なんかハルちゃんに怒られてる。
っていうか、"修羅場っぽく"って。越のことを好きそうな素振りは、嘘だったってこと?
「ははっ、困っとんなぁ。
俺らいつもこんな感じなんやで。ハルと兼が好き放題言うて、たまに俺も混ざって、越と静が傍観者で」
だめだ、頭がパニックになりそう。
鼓の助け舟で、ようやくわたしがハルちゃんにただ遊ばれていただけだったことに気づく。