【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-



「あー! わかんない!!

くそっ、越! ヘルプだ越!!」



「兼うるさい」



朝顔のメンバーは全員が学生。

となると、やはりまあ、課題というものが存在するわけで。学校は各々別々だけれど、夏休み課題というのがどーんと待ち構えているわけで。



「兼、課題まだあるの?」



「雫ちゃん……

夏休みはもう終わるってのに課題終わらないよ……」



「……が、がんばれ」



絶望した様子を見る限り、兼の課題は終わらなさそうだ。

「頭悪いとか言われたくないしぃ」という口ぶりからしてハルちゃんは頭が良いんだろうし、鼓は意外にも課題は終わってるらしい。




そしていちばん真面目そうな静くんの課題が終わってないはずもない。

……静くんと話さないから確かめたことはないけれど、たぶんそう。



越に関しては、課題に悩んでるイメージなんてゼロ。

「もう終わった」とも言っていたし、基本的にここのメンバーは頭が良いんだと思う。



「あー……雫ちゃん教えてください……」



「ごめん、わたしも教えられるほどじゃない」



「あははっ、見捨てられてやんのぉ。

雫ちゃん、ケンちゃんとか放っといて一緒にメイク動画観ようよぉ」



腕に絡んでくるハルちゃんの頭を撫でる。

柔らかいミルクティー色の髪は、やっぱりハルちゃんによく似合っていて。



「そういえばみんな、髪そのままで行くの?」



< 44 / 295 >

この作品をシェア

pagetop