【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
「ん…ん、、っ、ちょっと、」
「なに? 止められると萎える」
「いき、くるしい」
「毎日してんのに相変わらず息するの下手だね」
いつものように、夜には越に家まで送ってもらって。
玄関まで彼を入れたところまでは良い。扉が閉まった途端、それまで大人しくしていた越は、愛でるような目でわたしを見た。それから。
「でも馬鹿みたいにかわいい」
触れるだけのキスをされて。
深くなるうちに頭を押えられて、息する暇さえ与えてもらえなくて。
「煽った割には、へたばるの早くない?」
「っ……だって」
離してもらえた頃には、肩で息をしてるわたし。
越はしれっといつも通りの顔をしているし、わたしだけが、余裕がないみたい。……経験を積めば、もう少しマシになったりするんだろうか。
「まあ、慣れてるより可愛いとは思うけど」
「っ、」
「髪色、もう見納めなんだっけ?」
越の綺麗な指が、わたしの髪の毛先を持ち上げる。
頷けば優しく指に巻きつけて、蠱惑的な表情で。