【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
八名目 優理。
普段はちゃんと優理って呼んでるけど、今はめずらしく"しーちゃん"って言われたから、同じノリで返してみた。彼ももちろん、このチームの幹部。
「ん? 快斗は雫ちゃんが大好きなんだよ~。
好きな子の手料理って食いたいじゃん?」
「うるせー優理」
「だからしーちゃんに作って欲しかったんだってさ」
「あらそう? でも残念ね。
わたしは快斗にこの先一生何も作る気ないわよ」
「どんまい快斗~」
チッ、と快斗が舌打ちする。
だって先に余計なこと言った快斗が悪いのよ。
「ごちそうさまっ。
ぼくまだお腹すいたぁ。稜くんおやつないのー?」
「うん、いま出したので全部。
雫ちゃん、お菓子買い足しに行くけど行く?」
今の会話に我関せずだったふたりから、すこし先のコンビニまでのお誘い。
「着いてく」と席を立てば、まつりはそんなわたしを止めることも無く。
「気をつけろよ」
「うん、いってきます」
わたし、稜くん、咲ちゃん。
残りの3人はどうやら行かないようで、3人でたまり場を出る。決まってるわけじゃないけど、買い出しはこの3人で行くことが多い。
食べるのが好きな咲ちゃんと、チームの経理役も担ってる稜くん。
あとは、「女の子の好みって難しいから」って稜くんに言われたことがあるから、任せきりにせずわたしも一緒に。