【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
かあっと、頬が熱くなる。
……やっぱり越は、ふたりきりのときだけ、甘い。
『されたがってたくせに横暴だね。
……ああ、そろそろ合流するからまた連絡する』
「あ、そうなの。じゃあ切るわね」
『ん。
あと今後、できれば電話してくるのは大事な用事だけにしてくんないかな。俺電話嫌いだし』
「……ハイ」
前言撤回。
忘れてた。越はわたしにも冷たいんだった。
またもや拗ねたくなるけれど、今度拗ねたらどうせ慰めてもくれないんだろう。
わかっていたから、何も言わないで大人しく電話を終えた。
合流するってことは、みんなと一緒に過ごす予定があったのか。
それとも、着替えてから朝顔の倉庫に向かったりしたんだろうか。
わからないけれど、それ以上越から連絡が来ることは無い。
ふっと息をついていたら、ぴこんとスマホが鳴る。
『連絡先交換してくれてありがと、雫ちゃん。
早速なんだけど、俺とデートでもどうですか?』
……ああ、なんか連絡するって言ってたっけ。
もしこれが越からの誘いだったとしたら、迷わず頷くところだけれど。
『お断りします』
『え。なんで~?』
高校生活、1日目。
幹部ひとりの連絡先をゲット。まだまだ先は長そうである。