【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
・金髪美人な女子高生 side彼岸花
◆ side優理
「ツレないねえ」
『興味が無いので』と一言だけ返ってきたメッセージ。
敬語なところとか、スタンプも顔文字もつけないところとか、句点がないところも含めて本当に興味が無さそうだ。
東山 雫。
金髪のかわいい新入生が3組にいるって噂を聞いたから声を掛けてみたけど、思ったよりもガードがカタい。
「なにしてるのー?」
「っ、おも、」
勢いよく、ソファに座っている俺の背中に飛びついてくる咲耶。
おんぶを強請る子どもみたいなそれは、いくら咲耶だろうと男子高校生となればある程度重いわけで。
後ろから回された腕をとんとんと叩けば、咲耶が手を離す。
ひょこっと後ろから顔だけ覗かせたコイツに、たぶん悪気なんてものは無いんだろう。
「女の子に連絡してんの~」
「さっきの子?」
「ああ、よくわかったねえ」
本命とかカノジョとか作る気はないけど。
何人かいると便利じゃん、遊び相手。
ひとりだと、呼びたい時に来てくれないかもしんないし。
何人かキープしときたいとこなんだけど。中学のときの遊び相手は卒業と同時に告られて面倒だったから、そのまま切った。
だから高校生活でまた、新たに遊び相手が欲しいわけで。
……どうせならかわいい子の方がいいじゃん?
女の子はみんなかわいいとか、フェミニスト気取る気もないし。
かわいい遊び相手を何人か作れたら、俺はそれで満足なわけで。