【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
コンビニで提案されたそれに、カゴを持った咲ちゃんの目が輝く。
そのまま子どもみたいにお菓子コーナーに飛び込んでいったけど。
「稜くん。……臨時収入ってなに?」
わたしはその言葉が引っかかって、隣の彼を見上げる。
さっきまで腕に抱きついていた咲ちゃんがいなくなったから、なんだか急に腕が軽い。
「うん? 気になる?」
「……うん」
「はは、なんか警戒してるでしょ。
大丈夫だよ。株のデイトレードも気になるとこだけど、今回は不用品をアプリで売って稼いだだけ」
稜くんパソコンとか得意だもんね……
電子機器で困ったことがあれば、大体聞いてみると直してくれる。そしてわたしの頭の中を読んだような回答に、思わず頬を引き攣らせる。
「稜くん高2でしょ?」
「うん。
雫ちゃんも知ってるでしょ? 同じクラスだし」
「うん。……知ってるけども」
凡人にはわからない頭の中をしてるんだと思う。
だって株のデイトレードが興味ある高校生、そんなにいないでしょ。
カタカナの難しい言葉が嫌いなのよ、わたしは。
「まあ、そんなわけだから。
遠慮せず食べたいもの買ったらいいよ」
「うん、ありがとう。
また今度稜くんには何かお返しするわね」