【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
「でも、ずっと言ってる通りわたしは興味ないから。
申し訳ないけれど、遊び相手は他を当たってくれる?」
今まで、こんなにもはっきりと拒否されたことはなかった。
なんだかんだ口では嫌がりつつも、執拗に迫ってみれば満更でもなさそうな顔をして俺に向き合ってくれる女の子が常で。
「、」
この、言い表せない感情はどうしたらいいんだろう。
……どうすれば、引き止められる?
「雫ちゃ、」
「優理! 快斗!」
ガラッと、勢い良く部屋の扉が開く。
そこにいたのは眉間を寄せた稜介とまつり、そしていつ合流したのか咲耶の姿もある。……やっべ、怒ってんじゃねえか。
「集会早々、学年主任に俺ら3人が呼び出された理由はわかるよね?」
「……コイツ拉致ったから?」
「俺らだけならまだしも、
ほかの女の子まで巻き込んで何やってんの」
稜介が、快斗に向けて深いため息をつく。
それから困惑している雫ちゃんに、申し訳なさそうに「ごめんね」と謝った。
「学年主任には、もどっても集会をすっぽかしたことを怒られないよう、コイツらの責任だってちゃんと言っておいたから安心して。
……ごめんね、怖い思いさせられなかった?」
「うん……大丈夫。ありがとう」
「ならよかった。今から集会もどる?
どうせコイツら出ないだろうから、もどるなら俺が一緒に行くけど」