【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
そのまつりが、雫ちゃんを呼び止めた。
しかも普通に会話してる。……となれば、まつりの幼なじみの稜介ですら、驚いてそのやり取りを見守ることしかできない。
「だからここにいればいい。
何か不便なことがあれば、巻き込んだコイツらを好きなだけパシらせていい」
「ちょ、オメー何言ってんだよ」
「しれっととんでもないこと言うねえ、まつり」
とんでもないこと言ってるどころか、突拍子もないことしてんだけどさ。
咲耶も状況がつかめてないみたいで、さっきから一言もしゃべらずに固まってるし。
「じゃあ……お言葉に、甘えて」
2限目だけ、と。
小さく頷いた雫ちゃんに、すこしだけホッとした。
「ねえねえ、ぼく柳 咲耶!
昨日すぐりんが口説いてるって言ってたけど、ほんとにかわいいねぇ?お肌ぷるぷる!」
あ、咲耶復活したわ。
……んで、お前も適応すんの早いな?
「咲ちゃん。余計なことは言わなくていいんだよ」
「えー?
ツレないなぁって言ってたよー」
「……俺咲耶に何かしたっけ」
なんか怒らせるようなことしたのかな。
じゃないとしたら、あたりがあまりにも強くねえかな。ハートブレイクしちゃうんだけど。
「ふふっ」