【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
しっかり傷ついたらしいハルは、瞳を潤ませながらスマホで勢いよくフリック入力を繰り返してる。
ハルはハルで、雫ちゃんのことが大好きだし。
「あ、既読ついたっ」
これだけハルが女の子に懐いてるのだって、珍しい。
相変わらず綺麗に染められたミルクティーの髪には、雫ちゃんからのプレゼントらしいヘアピンが付いてる。
「『ごめんハルちゃん。
彼岸花の幹部と接触してるから忙しくて』……?」
「お。いきなり接触できたん?
入学2日目やのにようやるわ。クラス違ったんちゃうの?」
もぐもぐ。コンビニで買ったらしいサンドイッチを食べながら、鼓が越に問い掛ける。
……サンドイッチ美味そう。他人が食ってるものって、なんでこう美味そうに見えるんだろうな?
明日の昼飯サンドイッチにしよう。
あ、でも静が食ってる焼きそばパンもいいな……
「初日にしっかり八名女に目付けられたって。
昼休みも一緒に飯食おうって誘われたらしいよ」
「ふたりで?」
「いや? 幹部全員と飯食うって」
はっや! うちの姫気に入られんのはっや!
越がいきなり雫ちゃんを連れてきた時も驚いたけど、相変わらず色んな人に好かれてんな!?
「ってことは、なに……?
彼岸花の幹部は、今雫ちゃんと一緒にお昼食べてるってことぉ……?」
「まあ、そうなるんじゃない?」
「ハルたちの姫なのにぃぃぃぃぃっ」