【完】黒蝶 -ふたりの総長に奪われて-
顔を覗き込まれて言われたそれに、不可抗力で頬がじんわりと熱くなる。
かわいいとはこの人に最初から何度も言われてたけど、それとは何か違う。
……っ、断じてときめいてるわけではないから!
「雫ちゃん、明日からも一緒にご飯食べよ?
今日と同じように食べてもいいし、気まずいって言うなら俺とふたりで食べてもいいし」
「あら、いいの?
わたしがあなたとご飯食べると、あなたはほかの女の子に声掛ける時間が減っちゃうけど」
「大丈夫大丈夫」
「そう?
舘宮くんがいいって言ってくれるならそうしようかな」
話してて楽しかったし、自分から声を掛けるよりも誘われて仲良くなる方が、圧倒的に楽だし怪しまれない。
頷くわたしと、「……まつり、ねえ」となんだか不服そうな優理。
「雫ちゃんもまつりが気になる?」
「え、なんで?
だって舘宮くんがトップなんでしょ?じゃあ、舘宮くんに許可取るのは普通のことじゃない?」
「……うん。分かってるよ」
「………」
「……、気にしなくていいよ~。
我ながらすげえキモいなって思ってるから」
「でも、」
「うん。気にしなくて大丈夫。
……俺もまだ、自分で戸惑ってるし」