黎明の剣
プロローグ
黎明の剣と言うのは非常に有名な話である。
今から遡る事150年前、各国はその勢力を拡げようと、戦争を繰り返していた。
血が国を覆い尽くし、人間は人間に殺され、敗戦した国は植民地となり、民は飢えに苦しみ死んでいった。
奴隷にされ、人の尊厳すら奪われ、壊れ、自殺したものもいた。
忘れ去られ弔われる事すら無いまま朽ち果てたものもいた。
戦場にはそんなものたちの慟哭が、悲壮が満ち溢れていたのだ。
みんなこの地獄から逃げ出すために亡命するものも大勢いたが大半は国境で殺される。
国を裏切ると言うのは敵と見なされてしまうからだった。