黎明の剣
じわじわと広がってくる不快感と感情の処理もままならないまま彼は嘔吐する。
口の中に苦味と憎しみが広がっていく。
気持ち悪い、辛い、苦しい、助けて、汗が額に流れる。
許さない、許さない、あいつら絶対に許すものか。
「クソッ」
そして、血が床を伝う感覚を、声をあげることすらできないほどに恐怖したあの絶望を、その瞬間彼は己の心臓に刻みこんだ。
復讐心と、それに見合うだけの強さを、手に入れてやると。
その瞳は、青年のように凛々しく、深い闇を落としながらも、決して濁ってはいなかった。