黎明の剣
友達もそこそこいるし、両親も私を愛してくれている。
いたって充実した生活を、送っているはず。
なのに、いつも胸の辺りにぽっかりとした大きな穴が存在していて、埋まることがない。
何でだろう。何か足りないものがある気がする。
起きたらこの穴も無くなっていれば良いのに。
そう願いながら、布団を被り、目を閉じると、猛烈な眠気に抗えず意識がふわっと溶けていく。
だから、まさか、誰が思うのだろう。
目を開けた時、もう二度とこの世界には、戻れないまま、ニーディア王国物語の世界に転生してしまうだなんて。