この世界の向こうには
「なんで侑李は、わたしなんかに優しくしてくれるの?わたしにはわからない。わたしなんかが生きてたって人に迷惑かけるだけ。黎淶のみんなにだって迷惑かけてばっかりでなんの役にも立てない」

静かに涙を流しながら話すわたしを見て、目を見開きわたしを優しく抱きしめる侑李。

「お前は本当に馬鹿だな。俺は俺自身が選んだ奴としか一緒に居ない。俺は柚利がよかったから柚利に声をかけた。______柚利、お前が好きだ」

ツ______!

侑李がわたしを好き…?

なんで……?

「な、なんで…」

震える声を振り絞って聞く。

「柚利は俺ら族を怖がらずにいつも俺らの側にいてくれた。俺らどんなに傷だらけで帰ってきても、何も言わずに1人1人丁寧に手当てしてくれた。的確に状況判断をして怪我が酷い奴らから治療してくれた。あの人数で大変だろうに美味い飯を沢山作って笑顔で待っていてくれる。それが、どれだけ俺らの…俺の救いになったかわかるか?俺はなりたくて黎淶の長になったわけじゃない。強要されて、身勝手な期待されて、期待に応えられなければ殴られ蹴られ時には死にかける…。俺だって何度も死にたくなりながら生きてきたさ。でも、柚利を黎淶に迎え入れて、柚利を好きになって、俺は初めて生きててよかったって思った。俺の人生で“何があっても柚利を守り抜く”っていう生きがいを見つけた」
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