この世界の向こうには
侑李はちゃんとわたしを1人の人間として見てくれていた。

けど、わたしはどうだろう。

わたしはいつも侑李とわたしでは住む世界が違うって一線を引いていた。

それでも侑李はわたしを好きになってくれた。

侑李は実の親にすらあまり呼んでもらえなかった名前を何度も呼んでくれた。

「わたしだって…わたしだってずっと好きだったっ!侑李が好きだったっ!!」

侑李は驚いた顔をしている。

「柚利…」

「こんなわたしの名前を何度も何度も呼んでくれた侑李が好きだったの…。だからね、今初めて死にたくないって思った」

侑李にはわたしの過去を話してあった。

今思えば、いつだって侑李はわたしの心の傷を癒してくれていた。自分があと少しで死ぬってわかっていて、抗いようのない運命だとしても…。

それでもわたしは生きていたいと思わせてくれた侑李と残された時間を過ごしたい…。
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