この世界の向こうには
そんな柚利の心臓は静かに止まった…。

朝の回診で彗さんが柚利の病室に行った時、柚利の心臓はすでに止まっていた。

ただ幸せそうな顔で安らかに眠っていた。

「柚利…」

俺は柚利を失って、何のために生きればいいんだ…?

俺の生きる意味って何なんだ…?

「侑李」

「彗さん……」

放心状態の俺を見兼ねて彗さんが声をかけてくれる。

「侑李、お前は柚利ちゃんを失って辛いかもしれん。けどな、どんなにお前が悲しんだところで柚利ちゃんは帰ってこない。柚利ちゃんは、お前がずっと悲しんだ顔でいる事を望むと思うか?」

そんなこと、わかってる…。

わかってるさ。

だからと言って、俺は柚利が居なくなっても悲しむ事をやめられるほど強くない。
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