この世界の向こうには
彗さんの言うことは最もだ。

柚利はずっと苦しくて辛かったはずなのに、いつも笑顔で俺らの側にいて、俺らを支えてくれてた。

こんなに柚利のありがたみを思い出したのは、柚利が失踪したあの日以来かもしれない。

あの日からは、どうしたら柚利の負担を減らせるか、柚利の体調は悪くないか、しか考えてなかった。

俺は柚利から今まで何があったのか聞いていた。

それなのに、柚利のメンタル面まで考えが回っていなかった。

「…彗さん、ありがとう。俺は、絶対に悲しまないことは無理だし、柚利を忘れることも出来ない。けど、柚利に今こうやって形だけでも会えてることは俺にとって一番の幸せだから、柚利に会える最後の日は、柚利に今までの感謝と褒め言葉、それから笑顔で見送ろうと思う」
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