この世界の向こうには
 最後に、わたしは侑李に出会えて本当に幸せな時間を過ごせた。わたしの母親が失踪した日、わたしは1人で家の中で母親の帰りをいつも通り待ってた。母親が帰ってきたところで殴られたり蹴られたりするだけなのに、機嫌が良かったら昔みたいにまた、仲良く話して褒めてもらえて名前を呼んでもらえるんじゃないかって期待してた。それでも母親は全然帰ってこなくてわたしは初めて家の外に出た。その時に侑李がわたしに声を掛けてくれて、黎淶に置いてくれた。居場所をくれた。名前を聞いてくれて何度も柚利って呼んでくれた。優しくしてくれた。それがわたしは堪らなく嬉しかった。文字が書けなくてもちゃんと教えてくれた。出来るようになるまで練習に付き合ってくれた。そのおかげでこの手紙を書くことが出来たんだよ。本当にありがとう。
大好き
愛してる

                 柚利》
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