学級洗脳崩壊アプリ
「お嬢様のご命令なら。」


いきなり口調を変え、誠へ向けてお辞儀をし出す日々谷。


どういう……こと……?


「ひび………や……?」


消えてしまうほどに小さな声。


日々谷が日々谷じゃないみたいにおかしい。


誠にお辞儀したのは誰?

私の相談にのってくれたのは誰?


いつも味方でいてくれたのは……誰?



「あはははっ!チョーウケる(笑)


あんたはね、ずーっと騙されてたんだけどー(笑)


“日々谷”っていう架空の女を作って、この学校に入れさせたの(笑)


ちなみに一宮はあたしの専属メ・イ・ド」


腹をかかえて大笑いの誠。


じゃあ………日々谷はずっと私を騙して────っ。



私は頭に出てきた言葉をそのまま口に出した。



「嘘………嘘でしょ……っ?


日々谷は日々谷っ!

あんたのメイドなんかじゃないっ



───ねぇ?ねぇそうでしょっ?ねぇ日々谷っ!」

ふらついた足取りで日々谷───一宮という女の元まで駆け寄った。


「ねぇ!返事は……っ?ねぇってば!」


一宮の肩をがっしりと掴み思いっきり揺さぶる。


だけど、どんなに必死に言葉を投げ掛けても返事一向に返ってこなかった。


「一宮。何か言うことあるなら言いなさい。


そんなに無視してちゃ……(笑)……可哀想でしょ?(笑)」


ふっと鼻で笑いながら言い放った誠。


「味方……なんでしょっ?

あの………話は?



大切な人を失ったから私……守ったんじゃないの?」


必死に言葉を繋ぎ会わせて一宮に問いかけた。


「……………………バカね。

私がお慕いするのはお嬢様だけ。

お嬢様がすることならそれが全部正解なの。


あの話?あんなのただの嘘に決まってるでしょ。


私はあんたの味方なんかじゃない。

いつもお嬢様の味方なんだから。」


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