◇水嶺のフィラメント◇
洞窟との境界から三分ほど登り、そろそろ道のりの三分の二を過ぎようという頃、今度は前方右手に奥まった暗がりが見つかった。
アンの記憶にも合致する分かれ道ではあるが、その先には進んだ覚えがなく、何があるのかレインに尋ねたかどうかもぼんやりとしたままである。
その入口へ辿り着いてまもなく、ふいに奥からカツカツと響く足音が近付いてきた。
アンとメティアは一瞬にして身をすくめ息を殺す。
すがりつくべく壁に貼りついたものの、辺りに隠れられる物影は一つもない。
「どうする!?」とお互いの瞳をかち合わせたが、二人が出した結論は、足音の主がこちらに気付かず地上へ向かってくれるか、もしくはその主がレインでありますようにと祈ること以外、他に可能な策は見つけられなかった。
しかしアンはハナから気付いている。この足音はレインのそれとは違うものだと。
アンの記憶にも合致する分かれ道ではあるが、その先には進んだ覚えがなく、何があるのかレインに尋ねたかどうかもぼんやりとしたままである。
その入口へ辿り着いてまもなく、ふいに奥からカツカツと響く足音が近付いてきた。
アンとメティアは一瞬にして身をすくめ息を殺す。
すがりつくべく壁に貼りついたものの、辺りに隠れられる物影は一つもない。
「どうする!?」とお互いの瞳をかち合わせたが、二人が出した結論は、足音の主がこちらに気付かず地上へ向かってくれるか、もしくはその主がレインでありますようにと祈ること以外、他に可能な策は見つけられなかった。
しかしアンはハナから気付いている。この足音はレインのそれとは違うものだと。