◇水嶺のフィラメント◇
◇ 第三章 ◇
[11]裏腹の再会 〈 I ・L〉
「姫、さま……?」
驚きに満たされた小さな声が、頭上から降り注がれた。
「え……? あっ……生きてるのか!?」
今度は自分の胸の下から、同じく驚いた問い掛けが聞こえる。
「ちょっ、何だよ! あたいが守る立場なのに、何でアンがあたいに覆い被さってんだ!!」
アンは突然盛り上がってきた「抱えるモノ」に気が付いて、だるそうに上半身を起こした。
どうやら反射的にメティアの背中に抱きついたらしい。
お陰で「守る・守られる」立場が逆転したメティアは、恥ずかしいやら憤慨するやら、振り向かせた顔を真っ赤にしていた。
「姫さま、なにゆえこのような場所に?」
「え?」
その聞き覚えのある声にサッと頭を上げる。
アンはハッとして固まった。
いそいそと剣を鞘に納めるその姿は、
「イシュケル!」
ナフィル国近衛隊長、レインが見届け人としてリムナトに残すと決めたあのイシュケルであった。
その身はリムナトの外套に隠されているが、後ろへ撫でつけられた白髪混じりの髪と、深い皺の刻まれた細い面はいつものイシュケルである。
驚きに満たされた小さな声が、頭上から降り注がれた。
「え……? あっ……生きてるのか!?」
今度は自分の胸の下から、同じく驚いた問い掛けが聞こえる。
「ちょっ、何だよ! あたいが守る立場なのに、何でアンがあたいに覆い被さってんだ!!」
アンは突然盛り上がってきた「抱えるモノ」に気が付いて、だるそうに上半身を起こした。
どうやら反射的にメティアの背中に抱きついたらしい。
お陰で「守る・守られる」立場が逆転したメティアは、恥ずかしいやら憤慨するやら、振り向かせた顔を真っ赤にしていた。
「姫さま、なにゆえこのような場所に?」
「え?」
その聞き覚えのある声にサッと頭を上げる。
アンはハッとして固まった。
いそいそと剣を鞘に納めるその姿は、
「イシュケル!」
ナフィル国近衛隊長、レインが見届け人としてリムナトに残すと決めたあのイシュケルであった。
その身はリムナトの外套に隠されているが、後ろへ撫でつけられた白髪混じりの髪と、深い皺の刻まれた細い面はいつものイシュケルである。