◇水嶺のフィラメント◇
しかし「メティア」と「検問所」と言えば、彼女が目撃したというフランベルジェ出国時の厳しいチェックが思い出される。
それが何故だかルーポワ側では、自分たちに限らず誰に対しても皆無に等しいのがパニには気になるところであった。
よもや難航ルートである北路でアン王女が脱出するなど、万に一つも考慮に入れられていないという証拠だろうか?
このまま何もなければ良いけれど……パニは胸元に微かな不安を抱えつつ、リーフに気付かれぬよう今一度溜息をついた。
「おっ! ココだココ。この裏に小さな入口があるんだ。しばらくせせこましいが、頑張ってついて来てくれ!」
リーフは斜め右側に聳える断崖の手前、大声で一行にストップを掛けた。
ゴツゴツとした岩肌からところどころうねった木が伸びていて、闇夜を一層おどろおどろしく見せる。
一度振り返ってパチンと元気なウィンクを飛ばし、リーフは岩陰と木陰の暗がりに消えた。パニたちも繁る葉群れを掻き分け、慌ててその後に続いていく。
岩壁を伝って辿り着いた行き止まりは、グルリと崖に覆われた小さな谷間のようだった。
リーフが灯したランプも辺りには散らばらず、奥にある坑道の入口を淡く照らし出すだけだ。
確かにパニがギリギリ屈まずに通れる程度の高さであるから、他に悠々と歩ける者はフォルテくらいだろう。
それが何故だかルーポワ側では、自分たちに限らず誰に対しても皆無に等しいのがパニには気になるところであった。
よもや難航ルートである北路でアン王女が脱出するなど、万に一つも考慮に入れられていないという証拠だろうか?
このまま何もなければ良いけれど……パニは胸元に微かな不安を抱えつつ、リーフに気付かれぬよう今一度溜息をついた。
「おっ! ココだココ。この裏に小さな入口があるんだ。しばらくせせこましいが、頑張ってついて来てくれ!」
リーフは斜め右側に聳える断崖の手前、大声で一行にストップを掛けた。
ゴツゴツとした岩肌からところどころうねった木が伸びていて、闇夜を一層おどろおどろしく見せる。
一度振り返ってパチンと元気なウィンクを飛ばし、リーフは岩陰と木陰の暗がりに消えた。パニたちも繁る葉群れを掻き分け、慌ててその後に続いていく。
岩壁を伝って辿り着いた行き止まりは、グルリと崖に覆われた小さな谷間のようだった。
リーフが灯したランプも辺りには散らばらず、奥にある坑道の入口を淡く照らし出すだけだ。
確かにパニがギリギリ屈まずに通れる程度の高さであるから、他に悠々と歩ける者はフォルテくらいだろう。