◇水嶺のフィラメント◇
「あなた方はレインさまの! レインさまは何処にいらっしゃるのですか!?」

 手招きされて身を移した小部屋は、議会場奥の書庫室であった。

「……我々がおりながら誠に申し訳ありません。情報収集のため別行動を申し付けられていたとはいえ、レインさまのお傍にいられなかったばかりに……ましてや……わたくしがあのような……失態を演じたばっかりに……!!」

「えっ? と……あの、失態って……一体!?」

 中心の一人は既に泣きそうな面持ちで謝罪をし、突然パニたちの前へ(ひざまず)いた。

 家族をネビアに人質に獲られ、レインの隠す秘密を漏洩(ろうえい)してしまった張本人──フランベルジェとの国境でレインと別れたのち、ナフィル兵反目(はんもく)の騒動を探っていたのだが、その後ネビアに拘束された彼はその脅迫に屈してしまった。

「そんなの……ボクだって、黙ってはいられないよ……もしもリーフやメーが人質に獲られたら、ボクもきっと同じことをする……!」

 経緯を聞かされたパニは悔しそうに肩を怒らせながら、同じく唇を噛み締めて頷くリーフの顔を見上げた。


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