◇水嶺のフィラメント◇
もしかしたら──アンはレインが選んだ最後の道にも、もっとれっきとした意味があったのではないかと感じた。
「もしかしたらレインは……初めからこうするつもりだったのではないでしょうか? あの鉄格子が僅かでも開かれたのは、その証拠とは考えられませんか? レインはずっと神に祈りを捧げていたのかも知れません。代々風を継承した者が、渓谷で祈りを捧げるのではなく、この泉に身を捧げ、両国を見守る役を一手に担おうと……だからこそ彼はあたしに、風を継承する未来を話さなかったに違いありません」
「そんな、まさか……。い、いや……そうかも、知れないな……」
アンの見解には全員たじろがずにいられなかったが、今までのレインの全ての民への優しさを思えば、それを肯定せざるを得ない気持ちもあった。
「確かに、レインがかつてそういった心情を口にしたことはあった。この二国を根底から覆したいのだと。渓谷に暮らしていても、必ず「国」という足枷に囚われてしまう。風の継承者となれば、親との永遠の別れ、生まれた子供とのしばしの別れが訪れてしまう。しかし自分が命を賭してしまっては……それこそ君を独りにしてしまう行為ではなかったのか?」
スウルムは納得と同時に否定をした。
「もしかしたらレインは……初めからこうするつもりだったのではないでしょうか? あの鉄格子が僅かでも開かれたのは、その証拠とは考えられませんか? レインはずっと神に祈りを捧げていたのかも知れません。代々風を継承した者が、渓谷で祈りを捧げるのではなく、この泉に身を捧げ、両国を見守る役を一手に担おうと……だからこそ彼はあたしに、風を継承する未来を話さなかったに違いありません」
「そんな、まさか……。い、いや……そうかも、知れないな……」
アンの見解には全員たじろがずにいられなかったが、今までのレインの全ての民への優しさを思えば、それを肯定せざるを得ない気持ちもあった。
「確かに、レインがかつてそういった心情を口にしたことはあった。この二国を根底から覆したいのだと。渓谷に暮らしていても、必ず「国」という足枷に囚われてしまう。風の継承者となれば、親との永遠の別れ、生まれた子供とのしばしの別れが訪れてしまう。しかし自分が命を賭してしまっては……それこそ君を独りにしてしまう行為ではなかったのか?」
スウルムは納得と同時に否定をした。