◇水嶺のフィラメント◇
「叔父さま、あたしに「時間」を戴けないでしょうか?」
アンは立ち上がって、見上げるスウルムに問い掛けた。
その真摯な趣に、スウルムもまた表情を引き締めて腰を上げたのは、アンの考えに気付いたからかも知れない。
「もちろん構わないよ。ゆっくり会ってくるといい。私たちはナフィル側の出口付近で待とう。君がこの空間から出てこない限り、私以外は動けなくなってしまうからね」
「ありがとうございます、叔父さま。叔父さまもどうぞ、パニたちと良い時間をお過ごしください」
二人のやり取りを聞いた一同は、誰からともなく立ち上がった。
しばしの別れにアンはまず、落ち込んだ様子で佇むメティアに歩み寄る。
高いヒールを脱いだメティアは、アンとそう変わらぬ身長だった。
アンはその視線が辿り着く前に、メティアをひっしと抱き締めた。
「ありがとう、メティア」
触れた頬が小刻みな震えを感じ取る。
「……ちっとも……ありがとう、じゃない……レインを……助けられなかった……!」
そこまでどうにか言葉を紡いだが、メティアはアンの胸の中で堰を切ったように泣き出してしまった。
アンは立ち上がって、見上げるスウルムに問い掛けた。
その真摯な趣に、スウルムもまた表情を引き締めて腰を上げたのは、アンの考えに気付いたからかも知れない。
「もちろん構わないよ。ゆっくり会ってくるといい。私たちはナフィル側の出口付近で待とう。君がこの空間から出てこない限り、私以外は動けなくなってしまうからね」
「ありがとうございます、叔父さま。叔父さまもどうぞ、パニたちと良い時間をお過ごしください」
二人のやり取りを聞いた一同は、誰からともなく立ち上がった。
しばしの別れにアンはまず、落ち込んだ様子で佇むメティアに歩み寄る。
高いヒールを脱いだメティアは、アンとそう変わらぬ身長だった。
アンはその視線が辿り着く前に、メティアをひっしと抱き締めた。
「ありがとう、メティア」
触れた頬が小刻みな震えを感じ取る。
「……ちっとも……ありがとう、じゃない……レインを……助けられなかった……!」
そこまでどうにか言葉を紡いだが、メティアはアンの胸の中で堰を切ったように泣き出してしまった。