◇水嶺のフィラメント◇
この水嶺に遊ぶ二つの命に、水が靡く。砂が踊る。
水の波は音を奏で、砂の舞は音を纏う。
やがて一つに交わった愛は、あたかも糸と糸が縒りそうように一本に紡がれて、水面に伸びたその穂先は、地下洞にこの世のものとは思えぬほどのまばゆい光を発した。
『神さまに』
まどろみの時を与えてくれた神に感謝の祈りを捧げる。
その一瞬、アンの下腹部がほんのりと輝きを放ったことに、二人は気付いただろうか?
『心から愛しています』
それからアンは明朝再訪することを約束し、名残惜しそうに岸辺を目指した。
──ありがとう、アン。
レインは水底の砂に身を横たえ再び眠る。
ナフィルとリムナトを、両王家と両国民を、二国を取り巻く全ての生ける者たちを、その幸せを祈りながら。
そしてレインも幸せに包まれながら、明日の日の出を楽しみに待った。
水の波は音を奏で、砂の舞は音を纏う。
やがて一つに交わった愛は、あたかも糸と糸が縒りそうように一本に紡がれて、水面に伸びたその穂先は、地下洞にこの世のものとは思えぬほどのまばゆい光を発した。
『神さまに』
まどろみの時を与えてくれた神に感謝の祈りを捧げる。
その一瞬、アンの下腹部がほんのりと輝きを放ったことに、二人は気付いただろうか?
『心から愛しています』
それからアンは明朝再訪することを約束し、名残惜しそうに岸辺を目指した。
──ありがとう、アン。
レインは水底の砂に身を横たえ再び眠る。
ナフィルとリムナトを、両王家と両国民を、二国を取り巻く全ての生ける者たちを、その幸せを祈りながら。
そしてレインも幸せに包まれながら、明日の日の出を楽しみに待った。