◇水嶺のフィラメント◇
まだあどけない子供の面をしたパニだが、その眼差しには力強さがあった。深い海のようなブルー・グリーンの色。瞬間アンは何かに貫かれたような、懐かしい衝撃を胸に感じた。
「あ、の……パニ、何処かでお会いしたことがあるかしら?」
アンの声は何に揺さぶられたのか、幽かに震えていた。
「いいえ、アンさま。わたくしはナフィルを訪れたことはなく、リムナトにもこの度初めて参りました」
「そ、そう……では、貴女は……?」
何処の国の民だというのだろう? フランベルジェで見つけたというが、彼の国の殆どの民が持つという赤毛ではない。
アンは無言で考えを巡らしたが、すぐにその答えは導き出された。サッと変えられた顔色を察して、レインが皆にも説明してくれた。
「パニは「風の民」なんだ。彼らがフランベルジェの南に逗留していることは、商談先で偶然聞いていてね。リムナトの国境で今回の事件を聞かされた際、家臣だけを秘密裏に帰して、僕はフランベルジェに再入国したというわけさ。風の民は基本少人数でしか各国内に入ってこないから、なかなか探すのに苦労したけれど……どうにか見つけることが出来た」
「風の……」
「あ、の……パニ、何処かでお会いしたことがあるかしら?」
アンの声は何に揺さぶられたのか、幽かに震えていた。
「いいえ、アンさま。わたくしはナフィルを訪れたことはなく、リムナトにもこの度初めて参りました」
「そ、そう……では、貴女は……?」
何処の国の民だというのだろう? フランベルジェで見つけたというが、彼の国の殆どの民が持つという赤毛ではない。
アンは無言で考えを巡らしたが、すぐにその答えは導き出された。サッと変えられた顔色を察して、レインが皆にも説明してくれた。
「パニは「風の民」なんだ。彼らがフランベルジェの南に逗留していることは、商談先で偶然聞いていてね。リムナトの国境で今回の事件を聞かされた際、家臣だけを秘密裏に帰して、僕はフランベルジェに再入国したというわけさ。風の民は基本少人数でしか各国内に入ってこないから、なかなか探すのに苦労したけれど……どうにか見つけることが出来た」
「風の……」