◇水嶺のフィラメント◇
見れば口元を片手で隠し、もう片方でお腹を押さえたアンが、必死に笑いを堪えている。
「姫さま……?」
やっと目を覚ましたフォルテも、パニの膝の上で首を傾げた。
ついにはクスクスと笑い出してしまった姫を見詰めて、三人は唖然と沈黙した。
「ご、ごめんなさい! 二人の掛け合いがとっても微笑ましくて……あたしにも姉弟がいたら、こんな風に喧嘩が出来るのかしらって……」
「内容がちっとも微笑ましくないんですけどー」
呆れたようにアンを横目に捉えたメーは、それでもようやく燃え盛る炎を治めてくれたようだった。
腕を組み直して一番近い椅子にドッカリと腰掛け、腰巻からむき出しになった太ももを色っぽく絡めてみせる。
「あんた、ちっとも堪えないのね。あたいがレインとイチャイチャしてるって自慢してるのに」
「信じていますから」
笑いを噛み殺したアンもまた、両指を胸の下で絡めて落ち着いた笑みを宿す。
パニは緊張の面持ちで二人の対局を見守り、対してようやくこの状況を把握したフォルテは、「姫さまに「あんた」とは!」と、今にもがなり立てようという寸前だった。
だが、動じる気配もないアンの安穏さに、心の声を音声にすることは出来なかった。
「姫さま……?」
やっと目を覚ましたフォルテも、パニの膝の上で首を傾げた。
ついにはクスクスと笑い出してしまった姫を見詰めて、三人は唖然と沈黙した。
「ご、ごめんなさい! 二人の掛け合いがとっても微笑ましくて……あたしにも姉弟がいたら、こんな風に喧嘩が出来るのかしらって……」
「内容がちっとも微笑ましくないんですけどー」
呆れたようにアンを横目に捉えたメーは、それでもようやく燃え盛る炎を治めてくれたようだった。
腕を組み直して一番近い椅子にドッカリと腰掛け、腰巻からむき出しになった太ももを色っぽく絡めてみせる。
「あんた、ちっとも堪えないのね。あたいがレインとイチャイチャしてるって自慢してるのに」
「信じていますから」
笑いを噛み殺したアンもまた、両指を胸の下で絡めて落ち着いた笑みを宿す。
パニは緊張の面持ちで二人の対局を見守り、対してようやくこの状況を把握したフォルテは、「姫さまに「あんた」とは!」と、今にもがなり立てようという寸前だった。
だが、動じる気配もないアンの安穏さに、心の声を音声にすることは出来なかった。