◇水嶺のフィラメント◇
四日振りの「地上」は、屋根裏部屋とは違って騒がしかった。
本来の変装に扮したアンとメティアは、パン屋の裏手に建つ水車小屋へと移動した。屋根裏部屋では万が一近衛兵に踏み込まれたら、他に逃げ道がないからだ。
一方水車小屋では小麦を挽くための設備が常時音を立てているため、それなりに会話も出来るし、いざという時に備えて川べりには小舟も用意されている。
しかし総勢六名が待機するにはスペースが足りず、全員が夜までを過ごすにはかなり窮屈と思われた。
そこでメティアの発案により、侍従の一人とパニを空き家へ偵察に窺わせてみることにした。
近隣を知る店主と、そして昨夜一晩を過ごしたパニによれば、空き家の周辺は夜半にだけ開くような、飲食店がひしめく歓楽街の一角らしい。
戻ってきたパニの報告により、日中からでも潜伏可能との判断が下されたので、数時間おきにまずはフォルテを、お次は夕闇に紛れて残りの侍従を、最後に闇夜に隠れてアンとメティアが空き家に集結するという算段となった。
本来の変装に扮したアンとメティアは、パン屋の裏手に建つ水車小屋へと移動した。屋根裏部屋では万が一近衛兵に踏み込まれたら、他に逃げ道がないからだ。
一方水車小屋では小麦を挽くための設備が常時音を立てているため、それなりに会話も出来るし、いざという時に備えて川べりには小舟も用意されている。
しかし総勢六名が待機するにはスペースが足りず、全員が夜までを過ごすにはかなり窮屈と思われた。
そこでメティアの発案により、侍従の一人とパニを空き家へ偵察に窺わせてみることにした。
近隣を知る店主と、そして昨夜一晩を過ごしたパニによれば、空き家の周辺は夜半にだけ開くような、飲食店がひしめく歓楽街の一角らしい。
戻ってきたパニの報告により、日中からでも潜伏可能との判断が下されたので、数時間おきにまずはフォルテを、お次は夕闇に紛れて残りの侍従を、最後に闇夜に隠れてアンとメティアが空き家に集結するという算段となった。