◇水嶺のフィラメント◇
「あのっ、昨日のメンバーは、その前日にも会った兵たちと同じでしたか!?」
焦燥が唇に微妙な力みを加えて、アンの発した言葉は震えていた。
「申し訳ありません……どちらの際にも扮装したリムナトのマントを深く被っておられましたので、どなたのお顔も確認致しませんで……約束しておりました場所で声を掛けられたものですから、特には警戒しませんでした」
「そう……二日続けて同じシチュエーションとなれば、疑わないのも無理はないわ」
アンはそれきり口を閉ざして考え込んでしまった。
確かレインも昨夜「潜伏中の兵たち」によって所在を知り、空き家で一晩を過ごし、早朝此処まで会いに来てくれたのだ。
しかし今聞かされた状況では矛盾が生じてしまう。
レインも店主と同様に偽りの使者によって情報を吹き込まれたということなのか? それとも既に地下牢に閉じ込められた兵たちから聞かされたということか?
けれどレインはあの時「君たちの使者が見つけてくれた」のだと、そして「まだ城へは戻っていない」とも言った──。
焦燥が唇に微妙な力みを加えて、アンの発した言葉は震えていた。
「申し訳ありません……どちらの際にも扮装したリムナトのマントを深く被っておられましたので、どなたのお顔も確認致しませんで……約束しておりました場所で声を掛けられたものですから、特には警戒しませんでした」
「そう……二日続けて同じシチュエーションとなれば、疑わないのも無理はないわ」
アンはそれきり口を閉ざして考え込んでしまった。
確かレインも昨夜「潜伏中の兵たち」によって所在を知り、空き家で一晩を過ごし、早朝此処まで会いに来てくれたのだ。
しかし今聞かされた状況では矛盾が生じてしまう。
レインも店主と同様に偽りの使者によって情報を吹き込まれたということなのか? それとも既に地下牢に閉じ込められた兵たちから聞かされたということか?
けれどレインはあの時「君たちの使者が見つけてくれた」のだと、そして「まだ城へは戻っていない」とも言った──。