◇水嶺のフィラメント◇
「あの、アン王女さま。実はこのような事態が発覚致しましたので、兵隊さんの内お二人がわたくしと一緒に戻ってきております。今は店の奥にてお待ちいただいておりますが、こちらにお呼びしても宜しいでしょうか?」
「えっ……」
アンは一瞬戸惑いを示したが、再び手にした全ての情報を一巡させて、やがて店主と視線を合わせた。
「では、三十分後に二人を寄越してください。それまでに食事を済ませ、支度を整えておきます。「腹が減っては戦が出来ぬ」と申しますでしょ? 事情はそれから聴くことにします」
「え? あ、はい……承知、致しました」
アンの凛とした眼差しと口調に、やや違和感を寄せつつも、店主はひとまず引き下がっていった。
「なぁ……イイのか? 今すぐ兵たちから話を聴いた方が──」
再び二人となった空間で、何やら荷物をゴソゴソと探し始めたアンの横顔を見詰めて、メティアも困惑を隠せない様子になった。
「いいの。聴いている時間はないから」
「えっ……」
アンは一瞬戸惑いを示したが、再び手にした全ての情報を一巡させて、やがて店主と視線を合わせた。
「では、三十分後に二人を寄越してください。それまでに食事を済ませ、支度を整えておきます。「腹が減っては戦が出来ぬ」と申しますでしょ? 事情はそれから聴くことにします」
「え? あ、はい……承知、致しました」
アンの凛とした眼差しと口調に、やや違和感を寄せつつも、店主はひとまず引き下がっていった。
「なぁ……イイのか? 今すぐ兵たちから話を聴いた方が──」
再び二人となった空間で、何やら荷物をゴソゴソと探し始めたアンの横顔を見詰めて、メティアも困惑を隠せない様子になった。
「いいの。聴いている時間はないから」