【短編】赤い瞳に囚われて
 おねだりなんてしたつもりはないけれど、リヒトはそう言うと周囲に視線をやり無言の圧力で席を外すように指示を出す。

 生徒会のメンバーはそれだけで彼の意思を読み取り、文句も言わずに生徒会室から出て行った。


 以前までは反発したり、後からわたしに文句を言ってくる人もいたけれど最近では全くない。

 いろんな意味で諦められている気がする。

 それもこれも、リヒトが公然とわたしを恋人だと言って、手を出すものは誰であろうと容赦しないとみんなの前で威圧したからだ。


 ちょっとしたいじめとかもあったから助かったけれど、今度は学園の中どこにいてもリヒトが抱きしめたり手をつないだりと触れてこようとするから身が持たなくなった。

 それを幸せだとも思うからダメではないけれど、恥ずかしい気持ちだけは変わらない。


「さ、これで人目はなくなったぞ? 夢莉、お前をもっと味わわせろ」

「っ!……はい」

 キレイで、大好きな恋人の求めをいつまでも拒み続けることは無理だった。

 二人きりの状態にまでしてもらって、まだダメなんて言えなかった。


 わたしは瞼を伏せ、彼の唇を受け入れる。


 軽く触れて、唇だけで()むようなキスが繰り返される。

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