『始まったふたり。』最後から、始まる。ー番外編ー
「杉山、見て見て!
キリンご飯食べてる!」
「ホントだ
オレも初めて見た」
「ねー、杉山とダチョウ
走ったらどっちが早いかな?」
「オレと動物と比べんな」
「あのゴリラ、イケメン」
「歌笑、あーゆーのがタイプ?
黒すぎない?」
「杉山と真逆だね」
「悪かったな、イケメンじゃなくて」
「モモンガだって
わぁ、飛んだ…すごーい!」
歌笑も飛びそうなくらい
今日ははしゃいでる
かわいい
動物好きなのかな?
知らなかった歌笑を
少しずつ知っていく
歌笑が喜んでくれてるなら
オレも嬉しい
「歌笑、動物好きだっけ?」
「向こうに動物園ないから来てみたかった」
「歌笑と来れてよかった
オレもひとりじゃ来ないし…」
「そのうち誰かと来たりするのかもよ」
「え?誰かって?」
「これから友達とかできるでしょ」
「友達とは動物園来ないだろ
小学生じゃないんだから」
「じゃー、友達以上の人ができたら」
「なに?それ…」
意味深な言い方
「杉山、お腹空かない?」
「そーだな…
お昼過ぎたし
そろそろ出て、カフェでランチしない?」
「カフェ?ランチ?
杉山よく行ってるの?」
「いや…
なんか雰囲気良さそうな店あったから
歌笑が来たら行こうかな…って…」
こっちに来てから
まだ大学とアパートの往復で
どこも行ってなかった
ひとりじゃどこも行かない
歌笑がいたらな…
いろいろ行きたいところあるのに
「杉山がいつも行ってる店がいい」
「オレが行ってる店って
そんなたいした店じゃ…
どこでもあるチェーン店だけど…」
「いいよ」
「しかも牛丼屋とかラーメン屋だけど」
「じゃあラーメンにしようかな…」
「いいの?ラーメンで
向こうにもある店だよ」
「いいの
杉山がいつも
どんな生活してるか知りたいから」