クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
「お父さん。会って欲しい人がいるの。この前挨拶した人なんだけど」

「ああ。あの男か」

「うん。彼と結婚したいの」

父は何も言わずにふらっとどこかへ出ていってしまった。

「お父さんには刺激が強すぎたわね」

母はそういうと笑っていた。
先日彼を見た時点で父はかなり落ち込んでいたと聞かされ申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
本当に好きな人との結婚でもないのに悲しい思いをさせて親不孝だなと思った。
けれど長い目で見ればはなみずき製菓のためになるのだからと歯を食いしばった。

母と話をし、予定通り5月最後の日曜日に彼に来てもらって大丈夫と言われた。
店は妹に任せ、作業の方も従業員に任せることにした。
夕飯だけは妹もこれるように店は17時で閉めることにした。

【今日父に話しました。5月最後の日曜日、お昼過ぎの予定で大丈夫です】

【分かった】

もうこのシンプルなやりとりにも慣れてしまった。
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