クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
その晩、普段なら待たずに寝ることもあるが今日ばかりは修吾さんのことを待った。
23時を過ぎ、玄関ドアの鍵が開く音がした。

「お帰りなさい」

私が出迎えると修吾さんは驚いた表情を浮かべていた。

「夜食を食べますか?」

夕飯はいらないと連絡をもらっていたので準備はしていないが、夜食はどうだろう?
私が声をかけるとまた驚いた表情を浮かべる。

「ああ、少し空いてるんだ。お願いしても大丈夫なのか?」

「もちろん。お茶漬けにしましょうか?」

「ありがとう」

彼はスーツをソファに置くとテーブルについた。
私はシャケ、小ネギ、海苔をのせたものを彼の前に置きお茶をかけた。

「いただきます」

食事の度、きちんと手を合わせる姿にいつもながら感心する。
麦茶をとりに冷蔵庫に行き、入れてもどると食べ終わっていた。

「ごちそうさまでした」

私はグラスを出すと修吾さんはこれもあっという間に飲み干した。

「修吾さん。パーティーの件なんですけど、私は出席したことがなくてよく分からないんです。どうしたらいいのか困ってしまって」

「心配はいらない。俺の隣にいてくれれば大丈夫だから。招待された側だから美味しいものでも食べて適当なところで帰ろう。ドレスを買い揃えてもいいが時間もないし、今回はホテルので悪いが我慢して欲しい」
 
「我慢だなんて。私は貸していただけるだけでありがたいです」

私の不安げな顔を見て彼はずっと頭に手を乗せ「大丈夫だから」というとお風呂に入ってしまった。

こんな時間にこれ以上修吾さんを煩わせるわけにはいかない。
私は片付けを済ませると自室へと戻った。
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